詩作「華厳巡礼」

華厳巡礼

 

らりどぅ

 

人生は不可解なり

残した手記に涙せず

身を案ずるは我かのみ

生さへ死さへ軽んじて

まことを騙る人獣なる

心もと無く覚束無く

或る憂鬱の詩ぞ詠んだ

死ぬ人一人かなしきか

見たか夜空の深淵を

深く籠もるる暗鬱を

君に問はんや吾が明日

不器用にも尻突ッ蹴らるる明日

器用めかし造り笑ふる明日

惰性こそ最善たれ

失笑こそ最悪たれ

行け、野郎め、犬儒趣味!

行け、野郎め、嫉妬狂い!

終・幕、そして覆水盆に返らず

吾必ずや明日に死なむとする

君と吾の孰れもは巡礼者たるべからざらむや